支配的な母親。子供への影響とその末路 (2)

支配的な母親。子供への影響とその末路 (2)

母は、私が理想通りだと、上機嫌でした。「先生に褒められっちゃったわ~。よくできたお子さんですって」などと、私にも言って聞かせました。しかし、私が少しでも失態をやらかすと、母の態度は一変します。口を聞いてくれなくなりました。真っ暗な部屋でひとり涙ぐみ「絶望」しちゃうことも。私は母の理想通りの娘でいるしかありませんでした。そしてまんまと、母の「こうあるべき」に支配され続けたのだと思います。 ...

私は、進学先も、就職先も、母の言いなりになるしかありませんでした。そうしておかないと、母の機嫌が悪いから。「将来困ったことになっても知らないわよ」などと脅すようなことさえ言うから。母がよしとする大学になんとか進学し、母のすすめる会社に就職しました。

そして結婚も。彼が、母の理想とする「娘の配偶者」ではないことは、明らかでした。反対されました。私は、カレのことをほめちぎり、「こんなにいい人なんだ」エピソードを聞かせ続け、いくつかの嘘までついて、なんとか結婚し、家を出ることができました。

しかし私は、それ以降も、母から支配され続けてしまいました。

夫とふたりの生活。親からの自立。私は自由を感じました。やっと大空に羽ばたけた小鳥のように、喜び勇んで飛び回りました。今までしたくてもできなかったことを、片っ端からやりました。母のすすめで就職した会社だったけれど、本当は嫌でした。さっさと転職しました。髪を短くし、一度やってみたかった茶髪にしました。破れたGパンに、Tシャツ。キャップ、スニーカー。「自分らしい」スタイルに身をまといました。

母は、そんな私を否定し続けました。実家に帰るたびに、言われました。
「そういうの、やめなさい」。
「恥ずかしいわよ」。
「結婚して変わっちゃったわね」。

私は思っていました。「私は自分の力で生活してる。何をしようと勝手でしょ!」。母には怖くて、それを言えなかったけれど、でも私は確かにそう思っていました。そう思っていられる限り、私は自由なはずでした。しかし、私の心は、母に縛られ続けていたのだと思います。

「もうお母さんの言いなりにはならない!」と思っている一方で、私は、母から否定的なことを言われるたびに、自分に自信がなくなり、何をしても楽しくなくなりました。何より私にとって辛かったのは、大事に育てた娘を「こんなにしちゃった」犯人は夫・・夫が悪者になってしまったこと。そして、母から「恩知らずの裏切り者」呼ばわりされたこと。私は、自分がひどく自分勝手な人間に思えたりしました。そして、母のことを想うとき、いつでも罪悪感でいっぱいになっていました。

それでも私は、母を嫌いにはなれませんでした。自立して自分らしく生きている私と、新しい大人同志の関係を築けたら、と思っていました。そして時間がかかっても、きっといつかそうなれると信じていました。しかし、どこまで行っても、母の「こうあるべき」からはずれている私。母とうまくやれない原因は自分にある、と思い込んでいき、45歳とき、うつになりました。

親子関係に関する本を読んだりしました。こういうのを、「親に支配されている」と言うのだと知りました。「あー、母は毒親だったのか」と思いました。そして、そんな母の態度に私が窮していても、いつでも平然とテレビなんか見て、そっぽ向いて、見て見ぬふりを決め込んでいた父もひどいヤツだな、と初めて思えました。

自分のしたいことをしていても、「それは、お母さんの“こうあるべき”からは外れてるだろうな」と思ってしまったりするのは、支配されてる証拠・・。それに気づいて私は変わりました。そう思ってしまったときには、「お母さんからどう思われるかなんて、どうでもいいか!」と、半ばやけっぱちで吹っ切ってみたら、気持ちがラクになりました。

ひとつだけ後悔していることがあるとするならば、私は10代でもっと反抗しておくべきだったな、ということです。実は私は、自立前、こう思っていました。

「自立するまでの辛抱だ。学費とか出してもらっているうちは、親の言うことを聞いておくしかない・・」。

それが間違っていました。子供は、親の「お世話」になっているからといって、親の言いなりにならなくちゃいけないわけじゃない。食べさせてもらってるとか、学費出してもらってるとか、そんなこと関係なく、「お母さん、うるさい! 自分のことは、自分で決めたい!!」って言っておけばよかったな、と思います。そうすれば、母も少しは、私に対する態度が間違っていることに、気づけたのかも・・。

でも、そんな風に「自分にも悪いところがあったかも」なんて自分を責めてしまうのも「毒親育ち」の特徴なんだよね? そう。子供だった私は、何も悪くない。「無理してないかな」と、母は、私のことをもっと気に掛けるべきでした。子供の個性とか意思とか人格とかを尊重できる人に、自ら変わろうとするべきでした。そして父も。父は父で、母に「夫とはこうあるべき」を押し付けられ、支配されっぱなしだったんだろうな、と思います。でも、父に同情するのもやめました。娘を守ろうとして欲しかった、と思います。

母も父も間違ってた・・自信を持ってそう思えるようになりました。そう思えるようになったら、いつも霞がかかっているかのように曇っていた私の心が晴れやかになりました。母の支配から、やっと完全に自由になれました。


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