めんどくさい父親。娘の末路 (2)

あのとき僕は確かに、「もう・・ほっといてよ！」と父に言いました。父にうんざりしてました。あの大学は、ああだからダメだ。その大学には、問題がある。僕の希望する大学や学部を徹底して否定し、自分の出身校へ僕を入れようとゴリ押しした父。父を跳ねのけ、希望した大学へ進学しました。 ...

実家を出、東京でのひとり暮らしが始まりました。そのまま、東京の企業に就職しました。実家に帰るのは、盆と正月くらい。父は、いつもそっぽを向き、僕に話しかけることはなかったけれど、それは、僕を大人として認め、干渉するのをやめたからだと思っていました。しかし・・

付き合っていた彼女と結婚することになりました。僕は実家に電話をしました。彼女や彼女のご両親に会って欲しいんだけど、と父に告げました。父は、低い声でこう言いました。

「え？　もう俺は、キミのこと忘れたんだけどなぁ。キミはあのとき、俺に、もうほっといてくれって言ったじゃないの。せっかくアドバイスしてやろうと思ったのに、そう言ったのはキミじゃないの。だから、俺はもう、キミには何もしない、ほっとこうって決めたんだ。それがキミの希望なんでしょ。今更、何かお願いされてもね」。

唖然としました。結局、父とは物別れに終わりました。父がそんなにご機嫌斜めじゃ、彼女やご両親も、不快な思いをするだけ。事情を説明し、僕は、父に会ってもらうことを諦めました。

あれから５年、僕と彼女の間に息子が生まれました。この子もいつか、「ほっといてよ！」と僕に言い、巣立っていく日が来るんだろうと思います。でもそれを、僕は咎めたりしない。ましてや何年も恨み続けたりなんかしない。「立派に育ったんだな。大人になったんだな」。ぶつかりながらも、喜ばしく思うに違いない、と思います。

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