世間体を気にする母親。その心理と対処法 (2)

世間体を気にする母親。その心理と対処法 (2)

「母は、世間体を気にする人でした」。そう語るこの人の父親は、誰もが知っている大企業に勤務するエリートでした。 ...

「母は、そんな父の妻であることを誇りにしていたと思います。お中元やお歳暮が山のように届く家。ただのサラリーマン家庭なのに、母はなんだか勘違いしていました。我が家はエリート一家だと」。

何にでも「一流」を求めたと言います。「習い事と言えば、電車で1時間もかかる、一流の先生のところまで通わされました。来ている服も、ランドセルも、ほかの子とは違うブランドもの」。そして両親は、この人自身にも「一流」を求めました。

「母は、『こうあるべき』をこれでもか、というくらい私に押し付けました。いい子に見える振る舞いを、徹底的に私に仕込みました。それに沿わないと、『そんな子嫌いよ』とか言われて怖かった。私は、先生や近所の人には、ものすごく高評価でした。よくできたお嬢さんだと・・。しかし、友達はいませんでした。何を考えているのかわからない、と言われたことがあります。私は思いました。私も自分でわからない・・と」。

なぜ自分はそうなのか、長年悩んでいた答えが出たのは、大人になった後のことでした。「それまでの私は、常に、母は今、自分に何を言って欲しいと思っているだろう、何をして欲しいと思っているだろう、と考えて行動していました。そうしないと、ダメだと思っていました。私は完全に、親に洗脳されていました」。

「親のために生きてきたんだ・・」と気づいたときのショックは、言葉では言い表せないと言います。そして、それが普通のことだと思って生きてきたこの人には、何をどうすることが「自分の人生を生きる」ことなのかも、まったくわからなかったと言います。

「最初は途方にくれました。とりあえず、したいことをしてみよう、と思いました。茶髪にしました。眼鏡をかけました。何でもいいから、今までしたこともないようなことを。母が嫌がるような類のことを。今までしたこともないようなことをして、自分らしさを見つけようと思いました」。

変化は、少しずつ、でも確実に起こりました。「自分が何をしたいのか、ちょっとずつわかるようになりました。私は、嫌だと思っているのに、無理していいよとか言ってしまうようなところがあったのだけれど、それをやめました。やめてみたら、周囲の人から、明るくなったね、と言われました」。

この人は言います。「いい人ぶって30年も生きてきた私です。そう簡単に、変われるはずもないと思っていたけれど、意外と早く新しい生き方を見つけることができました。それはきっと、今までの方が無理してたからだと思います。実家にいたときの方が、ずっとずっと大変だった。母のために、世間体のために、いい人でいる生き方の方が、大変だった。自然体でいることを覚えたら、いつの間にか、生きることが楽しくなっていました」。


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