マザコン!娘を母親と比べ続けた父親の末路 (2)

マザコン!娘を母親と比べ続けた父親の末路 (2)

物心ついたときから繰り返し繰り返し聞いてきたいつものセリフだったはずなのに。そのとき私は、全身の力が抜けていくような、今まで感じたこともないような倦怠感を覚えました。「あ、うん・・」。同意しなければ、父の機嫌を損ね大変になることはわかっていましたが、返事ができませんでした。こんな場面でも、「そうだねぇ」とニッコリ笑ってその場を丸く収める。それが「私」のはずだったのに。食事を終えると、私は早々に実家を後にしました。 ...

帰ってきた私の様子がおかしいことを、夫が心配しました。実家でどんな話をして、何を思ったのか・・夫にポツリポツリ話をしているうちに、息子が巣立った夫婦ふたりきりの家で、年甲斐もなく、私は子供のようにワンワン泣き出してしまいました。

「がんばっても、がんばっても、お父さんは私を認めてくれない! こんな人生もうやめちゃいたい」。

自分でもわけのわからないことを言っているとわかっていても、もう止まりませんでした。「私なんか、どんなにがんばってもお母さんを超えられない! こんな私、誰も好きになってくれない・・」。

それは、私のインナーチャイルド(傷ついたままの子供の自分)の叫びでした。何かにつけて母と比べられ、「お前などまだまだ」「お前には無理」と言われ続けた子供時代。息子が立派に巣立ち、これで自分も一人前として見てもらえるのではないかとかすかに期待していたあの日、私はついに壊れてしまったのだと思います。

マザコンの男性は、母親が死んだ後、依存の対象を妻に変え、妻を持ち上げるために、子供とおとしめることがあるのだそうです。父と父の実母との関係や、その他の様々な諸条件を考慮するに、父はいわゆる「マザコン」だったのではないかと思います。私は最初から、「母を超えなければ」などとがんばる必要なかった。私は、母の引き立て役として、マザコンの父親に利用されてきただけなのだから。

胸の奥にずっとしまっておいたものを吐き出してうつから回復し、そして少しずつ自分を建て直しました。優秀な母と愛妻家の父・・私が両親に抱いていたイメージは幻想であり、洗脳。それに気づいて、私は変わりました。両親の実像は、マザコンの父と、娘を守ろうとしなかった愚かな母。恐れる必要など、何もなかったのだと思います。

超えたくても超えられないと思っていた両親の存在は、私の中ですっかり小さくなりました。泣きじゃくる私の手を、夫がずっと握っていてくれたあの日のことも、今はもういい思い出です。


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